【ご報告】2026年7月19日「臨床宗教谷山講座 2026 第一期」を開催しました
齋藤信悟
2026年7月19日、青森市・無量山 正覚寺に於いて東北臨床宗教師会青森支部主催「臨床宗教谷山講座 2026 第一期」を開催いたしました。
当日は、青森県内外から18名が参加し、宗教者をはじめ、大学教員・医療・介護・福祉など対人援助に携わる方々も多数ご参加下さいました。立場や専門分野を越え、「いのちのかたわらに立つための学び」というテーマについてスピリチュアルケアという視点から共に学びを深める一日となりました。
講師には、東北大学大学院文学研究科教授であり、東日本大震災後、長年にわたって多くの臨床宗教師養成の中心に立ち、携わって来られた谷山洋三先生をお迎えしました。
谷山先生は、昨年見つかったご自身の膵臓がんの進行により、余命半年程度の見立て(ご本人談)というご身上の中、今世最後の仕事として“ファイナルツアー”と銘打って青森までお越しくださりました。
本講演は、臨床宗教師のこれまでの歩みや、スピリチュアルケアの本質や定義について、長年の研究と実践をもとに、そしてご自身の病状をも研究対象として見つめてきた中での新たな発見についても触れ、宗教者と対公共空間との連携への手探りから端を発し、ケアの在り方そのものを問う時間となりました。
特に、「支援すること」と「寄り添うこと」は同じではないこと、そしてスピリチュアルケアは相手を変えるための技法ではなく、その間に流れる「感情の揺れ」に焦点を置き、支援者自身の在り方が問われる営みであることが、具体的なケースを想定しながら語られました。
講座終了後、参加者からは、多くの学びや気づきの声が寄せられました。
ある参加者は、
「率直に、行って良かった。参加できたことに本当に感謝です。」
と振り返り、
「私たちはスピリチュアルケアについて、間違っていたり、勘違いしていた部分があった。『ケア』の名のもとに、自分たちの都合を相手に押し付けてしまっていたのではないかと、大きく反省させられました。」
と、自身の支援観が大きく揺さぶられたことを語ってくださいました。
さらに、
「私が普段、医療・福祉の現場で抱えていた違和感の正体の一つが『これなんだ』と思えました。この部分だけでも、医療・福祉に関わるすべての人に知ってもらいたい内容でした。」
との感想も寄せられ、本講座が宗教者だけではなく、医療・介護・福祉など対人援助に携わる多くの専門職にとっても、大きな示唆を与える学びの機会となったことがうかがえます。
また、その参加者は、講座を通して得たイメージを印象的な比喩で次のように表現されました。
「これまで私が考えていた『寄り添うこと』は、漏斗や蟻地獄のように、良かれと思うほど相手を自分の考えへ導こうとしていたように感じました。しかし、谷山先生とご一緒した空間には縦も横もなく、自然に広がっていく心地よさがありました。」
支援者が「何をするか」だけではなく、「どのような存在として相手の前に立つのか」を問い直す時間となったことは、本講座の大きな実りであったように思います。
東北臨床宗教師会青森支部では、今後も宗教者と医療・介護・福祉など多職種が共に学び合い、地域におけるスピリチュアルケアの理解と実践を深める場を継続してまいります。
ご参加いただいた皆様、谷山洋三先生、そしてこの貴重な機会に会場を快くご提供くださいました正覚寺様に、心より御礼申し上げます。
※掲載している参加者の感想は、ご本人の了承を得たうえで掲載しています。
